Web制作会社のエンジニアのクウルス(@Qoo_Rus)です。
皆さんは「銀の弾などない」という言い回しを聞いたことがありますか?
「すぐに役に立ち、生産性を爆発的に上げる方法なんて存在しない」という意味です。
エンジニアとして色んな文献を読んでいたり、勉強会に参加していると、しょっちゅう「銀の弾」や「銀の弾丸」というキーワードに出会います。
どうやらエンジニアにとっての常識みたいですが、初めて「銀の弾」という言葉を聞いたときにはもちろん全く意味わからん状態でした。
この記事では、
- なぜ、「銀の弾」には「即役立つスゴい方法」みたいな意味があるのか?
- なぜ、エンジニアが「銀の弾」という言葉をよく使うのか?
についてお話したいと思います。
「銀の弾」という表現の由来
まず、そもそも「銀の弾」という表現が、なぜ「すぐに役立ち、生産性を爆発的に上げる方法」を意味するのかについて。
wikipediaによると・・・
銀の弾丸(ぎんのだんがん、英: silver bullet)とは、銀で作られた弾丸で、西洋の信仰において狼男や悪魔などを撃退できるとされ、装飾を施された護身用拳銃と共に製作される。
(中略)
銀には高い殺菌作用があるほか、ヒ素化合物のひとつである硫化ヒ素と反応して黒変する性質があるため、古くから病をもたらす未知の存在へ対抗する手段として経験則的に知られている。こうした背景から、通常の弾丸では通用しない吸血鬼や狼男、魔女なども銀の弾丸なら射殺できるとされ、伝説やフィクションの世界で多用される存在となった。
転じて、尋常な手段だけでは厄介な対象を一撃で葬るもの、という比喩表現として用いられる場合が多い。(引用元: https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%8A%80%E3%81%AE%E5%BC%BE%E4%B8%B8)
だけど、これだけじゃ、なぜエンジニアの間でよく使われるかが納得いきませんよね。
もう少し詳しく見てみましょう。
なぜエンジニアが「銀の弾」をよく使うか
とあるソフトウェア工学者の論文で使われたことで、ソフトウェアエンジニアリングの世界で広く使われるようになりました。
その工学者の名前はフレデリック・ブルックス
彼の著した論文
『銀の弾などない— ソフトウェアエンジニアリングの本質と偶有的事項』(英: No Silver Bullet – essence and accidents of software engineering)
のタイトルでモロに「銀の弾などない」という表現が出てきています。
『銀の弾などない— ソフトウェアエンジニアリングの本質と偶有的事項』
『どんな場合であれ通用する』ような、『万能な解決策』は存在しない
ということを語るために、「銀の弾などない」という表現を使ったことが、ソフトウェアエンジニアリングの世界でよく引き合いに出されるようになったというわけです。
ブルックスの著書である『人月の神話』にも載っています。
私が「銀の弾」を知ったきっかけ
私が「銀の弾」や「銀の弾丸」という表現を初めて知ったのは、ヒューマンインターフェースデザインで有名なソシオメディアの上野学さん(@manabuueno)の記事を読んだ時です。
OOUI – オブジェクトベースのUIモデリング
https://www.sociomedia.co.jp/7279
この記事の冒頭で「銀の弾丸」が登場しています。
ソシオメディアではこれまでデザインコンサルティングを行うために数百の業務アプリケーションを見てきましたが、世の業務アプリケーションのおよそ8割はタスクベースのUI構成になっていると思われます。それらのほとんどは、オブジェクトベースのUI構成に変えるだけで劇的に改善できるのです。デザインはトレードオフの集合であり、常に有効なテクニックというものはほとんどありませんが、「タスクベースからオブジェクトベースへの転換」だけは、半ば機械的に行えることでもあり、もう銀の弾丸と言っていいほど汎用的で強力なUI改善法なのです。
(引用元: https://www.sociomedia.co.jp/7279)
エンジニアがよく使う言葉を知っていくには
「銀の弾」に限らず、エンジニアの間でよく使われる言葉はたくさんあります。
エンジニアでない方やエンジニアを目指して勉強中の方がエンジニア特有の表現に触れていくためには、普段からエンジニアの書くweb記事を読む習慣をつけるのが最も効率的です。
こちらの記事で、情報収集に役立つお話を書いているので、是非ご覧ください!
